うれしかったこと

あたしには今までで1番と言っていいほど嬉しかった瞬間がある。

事務所のオーディションでのこと。

今月末で契約解除だなあなんて思っていたら思い出してしまったので残しておこう。

 

とにかく何かしないと!何かになりたい!の精神で応募してみたオーディション。もちろん軽い気持ちではなかったけど、落ちたらまあそこまでなんだろうなとは思っていた。

 

1次審査はWeb上で志望理由、年齢、オーディションの受ける種類〜などなど記入するだけの簡単なものだった。あっさり通ってしまった。

まあ、これは誰でも通るのだろうなと思っていた。

 

2次審査はテレビ電話による歌唱審査であった。

好きな曲をアカペラで歌うとの事だった。1年以上前のことだが未だに忘れない。あたしはあろう事か歌詞を飛ばしたのだ。最悪の空気が流れる。あ、終わったな。と思った。

何とか歌詞を思い出して歌いきることが出来たが、あの一瞬がとても長く感じ、トラウマになるレベルで怖くなった。

自信のあるものでミスをすることが心の弱いあたしにとって落ち込む要素になることは確実だった。

しかも、自信のあるものの中で1番の歌で。とりあえず結果のメールを待っていたとき。

2次審査通過と書かれたメールが届いた。

あんな失態を犯して通るオーディションがあるのか?と疑問だったが全くオーディションの場数を踏んでいないあたしはすごく嬉しかった。

 

3次審査はスタジオでの楽曲録音だった。

THE FIRST TAKEのような雰囲気で目の前にはマイクと歌詞しか置かれていない部屋のなか、歌う審査だった。

プロの使う機材の前で歌えることが本当に嬉しくて怖くて、どんな感情か分からなくなるくらい手足が震えていた。

でも、いざマイクの前に立ち、歌う曲のイントロが流れてくると自然と緊張が解けていき、いつも通りの最高の、歌を歌うことが出来た。

歌い終わったあと、すごく気持ちが良かった。あたしと音響設備前にいるスタッフさんにしかあたしの歌声は聞こえていないのだけど、あたしの今出せる全部を出し切ることが出来た。

少し経ってから3次審査通過のメールが届いた。

嬉しかった。本当に。涙が出てきたし、びっくりして少し動けなかった。

なぜならこのオーディションの審査は3つで最後の4次審査は保護者も併せた面談だからだ。

 

まずい。親に言っていない。

まさか自分でもここまで来れるとは思っておらず1次審査が通った時から誰にも言ってはいなかったのだ。

電話で聞いてもやはり親がいないとダメとの事だったので怒られることを承知で親に話してみることにした。

案の定母親はあんたがそんなの受かるわけないでしょなどと言ってきたが姉はすごいね!一緒に着いて言ってあげる!と言ってくれたので渋々来てくれることになった母と姉とあたしの3人で面談をすることになった。

 

4次審査当日。

すごく雨が降っていて、気分が下がっていた。

行く時の道中もお前がそんなうまいこといくわけないやら聞きたくない言葉を投げてきていたが全て無視して事務所に到着した。

 

スタッフの人に今までの2次審査3次審査についての講評をしてもらっていたそのとき。

○○さんが1番ダントツで評価高かったんですよ。音楽の道のプロが合否を決めているのですが、ほぼ○○さんの歌声に○が付いていて本当にすごいです。

と言われた。すごく嬉しかった。今までの練習が報われて、無駄じゃ無かったんだと思えた。

 

レッスンで学べた素晴らしいことも沢山あるし、レッスン内で褒めてくれた先生や、仲間たちにもすごく感謝している。

これからもずっと、たくさん嬉しいことが重なっていけばいいなと思った。

 

ではまた。